足関節の機能・構造@
 
  
 『距腿関節』(talocrural joint)
  関節窩…脛骨の下関節面と内果、腓骨外果
   関節頭…距骨上面の滑車 
   靭帯…三角靭帯、踵腓靭帯、前距腓靭帯、後距腓靭帯

@脛骨の下関節面と内果ならびに腓骨外果が関節窩となり、距骨滑車が関節頭となる。蝶番関節である。

A底屈45°、背屈20°の運動可動性をもつ。

B運動軸は、距骨長軸に対して16°外方を向いている。

C内果(lateral malleolus)は脛骨の遠位端にあり、距骨内側面に接し、足関節に骨性の安定性を与え、距骨内側の1/3と関節を形成する。

D外果(lateral malleolus)は腓骨の遠位端にあり、内果よりも後方で、しかも遠位まで突出している。このため外反捻挫を防ぐ。一方あまり遠位に伸びていない内果は、内反捻挫を防ぎきれない。

E距骨滑車の横径は前方が後方より約5o広くなっており、最大背屈位では、わずかに下脛腓関節での内・外果の広がりと腓骨の回旋を生じる。

Fclose-packed position:最大背屈位
 loose-packed position:20°底屈位


『距骨下関節』(subtalar joint)
   関節窩…距骨下面
   関節頭…踵骨上前面
   靭帯…距踵靭帯(骨間・内側・外側)

@距骨の下面と踵骨上前面との関節で、前・中・後の3つの部分で接合する顆状関節。   

A外転・内転運動と外反し・内反し運動が可能である。

B外反し(eversion)運動は回内―外転―背屈、内反し(inversion)運動は回外―内転―底屈の複合した運動である。

C外反し20°、内反し30°の運動可動性をもつ。


 足関節は脛骨、腓骨、距骨で形成され、これらを結び付けている靱帯が関節を安定させ、動かす。これらの靱帯は、前距腓靱帯、後距腓靱帯、前脛腓靱帯、踵腓靱帯、三角靱帯である。これらの靱帯のいずれかが損傷すると、脛骨が腓骨から離れ、距骨が不安定になる。靱帯の損傷の程度によって距骨の不安定性の程度が決まる。損傷の最も多い靱帯は前距腓靱帯である。靱帯の弛緩や不安定性は慢性的な足関節の捻挫につながる。





 私の考え・・・
 足関節では靭帯が強靭なため、アキレス腱断裂や内果骨折などで長期の固定を強いられると可動域回復に時間がかかる。キプスが取れてからも弱くなった筋力で過重を強いられる為、炎症・腫脹の治りはとても遅くそれによる可動域制限も強い。
 背屈の可動域運動では、踵腓靭帯のtightnessによる外方向への過剰運動にも注意すべきである。
 可動域運動時に見逃しがちなのが、腓骨の回旋運動である。脛骨-腓骨間の骨間膜、前・後脛腓靭帯の柔軟性がなければ距骨が入り込めない。足関節ばかりに注目すのではなく、脛腓関節の動きの触診を行い、モビライゼーション等を行っていかなければならない。

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