膝関節の機能・解剖A

   【膝蓋大腿関節】(PF関節)
                                                                                                    
大腿骨の凹の上を凸の膝蓋骨が滑る関節である。
 膝蓋骨は凸面の外側(外側関節面)と内側(内側関節面)に分けられる。さらに内側関節面は、中央からの傾斜のゆるい内側固有関節面と急斜面の垂直関節面に分けられる。

 膝蓋骨の関節面は4〜5mmの関節軟骨に覆われている。
 



<膝蓋骨の屈曲時の圧力>

 PF関節は、伸展位〜屈曲20°までは大腿面に接触しない。
 20°では、膝蓋骨下端が接触し、60°では膝蓋骨中央が接触する。
 90°では、中央より上部が接触し、135°では内外の縁が接触する。

 60〜90°の間は膝蓋骨のわずか30%しか接触していないために、関節圧力はかなり上昇することになる。
 伸展位では膝蓋骨は完全に浮き、上膝蓋脂肪体と接触する。
 0°で大腿四頭筋を弛緩させれば、膝蓋骨を自由に動かすことができるが、20°ほど屈曲させると顆間構内にはまり込み可動は減少する。

【膝蓋骨の高さ低さの計測法】
 X線を撮り、膝蓋骨長(A)と膝蓋腱長(B)を測定し B÷Aで測定できる。
 値が1.2以上なら正常よりも膝蓋骨が高位にある、0.8以下なら膝蓋骨低位と判断できる。



〈膝の可動域とADL〉


 膝関節の屈曲角度と日常生活動作についてはKettlekampによる報告がある。
 すなわち、67°以上屈曲できないと歩行に障害が生じる。日常生活で椅子に座る93°、また椅子から立ち上がるために100°の屈曲が必要であり、日常生活上では階段昇降が必要となる。
 その際、階段を上るために83°、降りるために90°膝の屈曲が必用である。また、正座をする際にも140°の膝屈曲角度が必要となる。


 私の思い・・・
 膝蓋骨は最大の種子骨であると同時に多くの組織が付着している。
 膝蓋骨の動きが悪いときは、あらゆる可能性を考えなければならない。脂肪体の柔軟性や膝蓋上嚢の癒着程度、膝蓋大腿靭帯・膝蓋脛骨靭帯の動きなどなど。もちろん強い圧力がかかり易いために、変形もおきやすく、クリック音や礫音も認められることが多い。
 膝蓋骨の形も想像してリハビリを行わなければならない。膝蓋骨の外側と内側では角度や形がまったく違うし、大腿骨側の関節面も内側外側では角度が異なっている。レントゲンを見る際は、これらのことを知っておかないとどこに異常があるかの判別ができなくなる。



































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